録画しておいた「のだめカンタービレ」
我が家で再放映開始!
Lesson1と2がなかったので義兄(のだめフリークです)に泣きついてDVDをダビングしていただいて
全巻揃った!
ニ度目となると、結構、余裕で観れるわけで
すると、意外とバックなんかにも凝っていたりするのが判っておもしろい
で、このドラマの中で流れる音楽で唯一タイトル不明の曲があった
ドラマの一番始めに流れた音楽で
千秋先輩の回想シーンでよく流れる
結構重要な音楽です

最初、レスピーギかなと思った

でも違うな...

で、次にドボルザークかもと思った

スラブ舞曲にあったかな....

調べたが
ない....

で、インターネット駆使して
孫引き孫引きしまくり
やっと判明した!

ドボルザーク作曲「チェコ組曲作品36」からの抜粋だった

とても懐かしくて
切なくて
心のやわらかな部分にじわりと染み込んでくるような旋律....

ブラームスがこんなことを言いました....

「ヤツの屑篭に捨てられた五線紙を拾って来い。その旋律で交響曲が1曲書けるよ」

今度はHMVで探しまくり
やっと見つけて早速CDを注文!

早く全曲聴いてみたいもの....

ついでにメキシコの爆演指揮者
エンリケ・バティスのビゼー管弦楽曲全集を見つけたので購入
「アルルの女」のファランドールはきっとすごいことになっているだろう....
マルケビッチ&ラムルーを凌駕するかどうか....
こちらも早く聴いてみたいもの....

今夜はサタデナイト!
のだめLesson3と行きますかね~




様々な特番が放映される年末年始....
ハードディスクレコーダーが満杯になってしまいます。

で、いろいろな音楽番組、ライブ放映、映画等々....
たくさんやられました....新年早々、なだそうそう....

「天空の城ラピュタ」
これはレンタルしてきて、これまでに4回くらい観たけど....

久石譲氏の音楽にはやっぱ降参です。

日本の映画史上で、老若男女を問わず、これだけ、たくさんの人が知っていて
さらに、その映像をそれぞれの人の脳裏に無理なくかきたてる
そんなメロディを彼ほどたくさん書いた人っていないのではないだろか....

「ザ・フー ワイト島ライブ」 
いや~、カッコいいのなんのって....

裾の短い白いつなぎ姿でギブソンSGを弾きまくるピート・タウンゼント
ドラムを叩くためだけに生まれてきた少年キース・ムーン
微動だにせず白けた表情で、激うまベースを弾きまくるジョン・エントウィッスル(骸骨の衣装が意外とオチャメ)
勘違いしたビジュアル系ボーカルって感じのロジャー・ダルトリー

てんでバラバラのこの4人にしか創り出し得なかった独特のムード

ビートルズも奇蹟だったけど、ザ・フーも十分に奇蹟だと思う

「葉加瀬太郎10周年アニバーサリーライブ」
何て楽しそうに音楽やってるんだろう....
ステージが好きで好きでタマラン!というのがじんじん伝わってくる

でも、このレベルまで至るのにはどれぐらいの基本練習が積み上げられてきたことだろう....
一朝一夕でできるわけではないのね....
僕も曲がりなりにもライブパフォーマンスをしているわけなので
練習せないかんなぁ....と痛感しましたな....

「東京事変2006ライブ」
僕的に椎名林檎はキワモノ的存在(奇を衒ってんじゃないの~みたいな..)として敬遠しておりました

撤回します!
大いに撤回してしまいます!
安物の政治家ほどに....

こりゃすごいわ....
こりゃ素敵だわ....
こりゃ可愛いわ....

メガホン構えて歌うその御姿....
すでに神々しくさえありました
これまた早々に降参....

「ロジャー・ノリントン&N響 モーツァルト交響曲第39番」
N響に古楽器奏法を無理矢理に課して
ノンビブラートで弾かせたのはノリントン氏だけでしょう

そのリハ風景が実におもしろかった~

「ノンビブラートで大丈夫ですか?」
とノリントン卿がいたずらっぽく尋ねると

コンマス篠崎氏がふんっと頷いて
「No Ploblem ! No Ploblem !」と2度大きな声で言って
「なぁ?」みたいな感じで振り返り
戸惑う弦楽器セクションを見渡したものだ

で、モーツァルト第39番
これはなかなか新鮮な響きだわ
確かに何となく中途半端な感は否めない
ノンビブラート奏法なんて、すぐに慣れろって方が無理ですわな

でも、こんなワクワクするような第39番
聴いたこと、あまりなかったような....

でも、でも、エルガーのチェロ協奏曲はイタダケナかったな
石坂団十郎氏のチェロも
「ホントはビブラートかけたい!でも、いけない!でも、かけたい!でも、いけない....」
みたいな大葛藤の中で弾いていたような
そんな妙な緊張感が伝わってきて
こりゃ聴いていて疲れたです
エルガーはビブラートかけても歴史的に問題はないんではなかろうか

「ニコラウス・アーノンクール&ウィーン・コンツェントゥスムジクス モーツァルト レクイエム」
目ん玉ひんむいて自ら歌いながら強烈なアタックで煽りまくる
元祖ちょい悪親父、アーノンクール....
私の「「指揮者は顔だ」説」を見事に立証するかのごとき
顔で振っているレクイエム
「怒りの日」の激しさには驚いた!
そして大感動!
どこに感動したかというと
アーノンクールって「激しさ」ばかりが強調される事が多いけど
実は違うのだな
とてもデリケートに音楽を創ってるんだね~ってとこに....

それはシュトラウスの歌劇「こうもり」のリハーサルのDVDでも観れるけど
実に実に実に実に
細かくて
根気のいる音創り作業を延々とやる、やりまくる!

でも、こんなの続けてるとオケもコーラスも歌い手も嫌気がさすはず....
でも嫌気ささないのは何故か(実は嫌になってんのかもしれんけど)
それは一つにはユーモア
それと他の誰よりも曲を勉強しているという自負
そして教養
これらの要素をアーノンクールが持っているからではないだろうか

で、この番組にもリハのシーンが挿入されていたのだけど
これがおもしろい!
バスがはっきり歌詞を歌い過ぎるというのでアーノンクールが止めて指示を出す
「朝食のパパイヤが喉に引っ掛かっているような感じで....こんな風に」
と、相変わらず目剥いて、歌詞をぼやかして実際に歌う
「ではもう一度....あぁ!それでは弱すぎる!」
するとバスの合唱団からこんな台詞がボソっと....
「今朝パパイヤを食べ過ぎました」
苦笑するアーノンクール....(でも目、笑ってねぇ~!)
やっぱユーモアのセンスって必要なんだね~

ま、他にもいろいろと「やられた」わけですが
これらの「やられた」で共通なのは
「この人ら本気だわ....」ってことかもしれません
つまりは、僕自身の本気度がまだまだ足りんってことの裏返しなんだろうな
 コピペで申しわけございませぬが...
 ブログ復帰リハビリっことでお許しを... 
 では復帰ブログ第1弾!

 HPもアメブロもミクシもまるで更新していなかったので
 何かあったのではないか?
 生きているのか?
 との問い合わせが僕の元に殺到..
 その対応に明け暮れた年末年始休みで..
 あるわけはなく、実に平穏なお休みをいただいておりました。

 今回の年末年始で画期的であったこと。

 それは、12月30日の時点で、家の大掃除がほぼ完了していたことでありましょう!

 30日の朝食後にすっくと立ち上がり、まだ談笑している家族に向って突如の大掃除宣言!
 目を丸くして見上げる総員3名..
 そこから目まぐるしく時は動き始め、家の窓、網戸、引き戸のレール等々、すごく綺麗になりました。
 我が家のキッチンには、シンク越しにのどかな裏山が一望できる大きなガラス窓があります。そこには裏山からどうやって渡ってくるのか、大きな蜘蛛があちらこちらに巣を作っており、その窓枠には死んでるのやら、生きてるのやら、カメムシがおります。
 その窓を外から一気に掃除するわけであります。

 これ、結構、勇気とかいります。

 あ~..思い出すだけでも気分が悪くなるわ..

 でも、この熱血的行動の成果は十分上がり、キッチンから見える裏山の景色はとてもクリアになりました。
 そう、汚れまくった眼鏡を綺麗に拭いて、かけなおした..あの爽快な感じです。この感じ、眼鏡っ子にしか判りますまい..
 
 自室も今回は徹底的に整理!

 安物のくせに、何となく威圧的に聳えていた深緑色のスチールラックを解体し、とっても美人の辰巳渚先生のアドバイス通り、しっかりと捨てるものは捨てて、片付けてみると..

 あら、不思議!

 何だか、とてもクリエイティブな気分..
 ギターまでいい音になったような気がするのです。

 そんな勢いで本当に超~久し振り~の1曲ができました。

 創造的生活ってやはり住環境も大切な要素なのでありますね。

 さらに!

 2年前に惚れ込んで、ネットで探しまくってやっと入手したサンスイのアンプも、これまた、しぶ~いダイヤトーンの3ウェイスピーカー(さらにパイオニアのツィーターを追加しております)をいい音で鳴らしてくれるようになりました。
 ラックのせいで左右のスピーカーの間隔が狭くなりすぎていたのですね。
 6畳の部屋の端と端に置けるようにして鳴らすと、音がふわぁ~っと部屋中に拡がるようになりました。
 ピエール・ベンスーザンなんか、すぐそこでギターを弾いてくれてますよ。

 あ

 ベンスーザンと言えば!

 僕的には「世界で一番アコギの上手い人」なのですが..
 今年5年振りの来日!
 でも東京3ケ所、名古屋1ケ所、大阪1ケ所の計5ステージしかありません。

「ど~~せ、スケジュールあうわけないわなぁ~ちっ..」などと舌打ちしつつ調べると..

 おぉ!

 大阪公演が休診日の土曜の夜ではないか!

 で、ネットでチケットをゲット!何せ150人くらいの小さなライブハウスらしいので、半ば諦めていたんですよね..
 だから、もう嬉しいのなんの!

 でも、昨夜、もう一度アクセスしてみたら..

 何とまだチケットあるらしいです..

 アコギ1本のライブなんて、よくよく考えてみたらまだまだマニアックなステージなんですよね~..

 でも、もしもお時間と、興味のあるお方がおられましたら、「TABギタースクール」で検索してみて下さい。
 そこで世界一のアコギサウンドが間近で聴けるチケット販売中!
 ベンスーザンのギターはただ速弾きとか、驚くようなサウンドとかってわけではないのです。
 本当に心籠った音楽です。

 でも!弾けません!

 彼は実に簡単そうに、何気に弾いていますが、実際にギターを持って、その楽譜と格闘してみると、そのテクニックのモノスゴさが判ります。半端じゃありません!

 と、いうわけで、そろそろ今年初の往診時間です。

 今日のところは三瓶も雪はないので、楽ですが、明日からどうも何だか雲行きが怪し気です。

 地球温暖化は深刻な問題です!確かに問題です!
 日本海にマグロやオニヒトデが泳いでいるそうです。
 足下まで波が打ち寄せてくる国もあるそうです。
 北極の氷が無くなるかもしれないそうです。
 でも..南国生まれの僕としては..
 雪や凍結がないと、嬉しかったりします。
 それでは
 行ってきま~す
 
 あ
 
 最後に
 今年も宜しくお願いいたします!
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一介の地域医療の開業医である僕が、何と!島根県下の中学校の校長先生が一堂に会したその前で、真っ昼間から講演をしてライブをする…よくよく考えるとなかなかトンデモナイことかもしれない。講演ライブの直前は大抵資料を並べて歌う曲との整合性などを考えつつ、それなりに緊張した時間を過ごす。さてそろそろ出番だ!でわ(^o^)/
ヘレヴェッヘ
 このCDジャケットに写っているメタルフレームの眼鏡をかけた白髪混じりのおじさんの名は、フィリップ・ヘレヴェッヘという。ちょっと変わった名前であるが、それは日本人だからそう感じるだけのことだろう。
 見るからにちょっと小粋なおじさんである。
 このCDで演奏されているのはブルックナーの交響曲第4番。
 この小粋なフランスのおじさんが振ったお固いブルックナーは一体どんな演奏なのだろう?
 このお顔の通りなのだね、これが...
 特に第2楽章!こ、これは、ルネサンス期の音楽か?!と聴きまごうばかり...
 こんなブルックナー聴いたことがない。 
 これみよがしの大音量はまるでない。
 慎ましやかで、でも、言いたいことはちゃんと言うみたいな。
 本当に素敵なブルックナー!あ~~~もっともっとたくさんの人に聴かせたい!
 ちょっと間違うととても粗野な音楽になってしまうスケルツォも実に柔らかくて素敵!
 例えばロリン・マゼールという天才肌の指揮者がいるが、僕はダメ。
 顔でヒイてしまう。
 バレンボイムとかアシュケナージなんかも顔でダメ。
 これは音楽を聴く上で反則的な聴き方なんだろうとは判る。
 でもダメなんですなぁ...
 とにかくヘレヴェッヘは顔がいい。
 ファッションセンスもいいですしね...
 極論であるとは知りつつも言いたい。
 
 「指揮者は顔だ」
 それぞれに鍛え上げられた野球選手達が、その力を出し切って
 白い球を投げたり打ったりして、点のとりあいをするわけだから
 野球の神様なんているわけないじゃん。
 
 でも、昨日はいるような気がちょっとだけした。

    000000010000000
    000000010000000

 何てきれいなシンメトリー!
 2羽の大きな鳥が羽をひろげているみたいだ...
 早稲田実業、駒澤苫小牧の両エースの力もきれいなシンメトリー!
 3時間以上も野球を観戦していて、こんなに気持ちよかったことって始めてかもしれない。
 引き分け再試合か...
 決着はいずれつくのだろうけれど...
 言い古された言葉とはいえ...
 勝負の世界って厳しいね。

 試合終了後、思わず気合いを入れてチェロの練習をしてしまいました...
カルメン
 ビゼーは比べようもない天才的音楽家である。
 でも、ビゼーが書いた「カルメン」や「アルルの女」などは、よく「通俗曲」とか「このような曲...」とかいった言われ方をする。
 通俗と天才が相反するわけではないけれど、たとえばモーツァルトや、ベートーベン、ブルックナー、マーラーといった作曲家の作品とは一線を画されているようだ。それは交響曲というジャンルが1曲しかないからかもしれない。
 しかし!
 たとえば「カルメン」のようなオペラを一体誰が書けたか?
 モーツァルトでもない、ヴェルディでもない、ワーグナーでもない。
 ビゼーにしか書けなかった、唯一無比のオペラが「カルメン」である。
 このオペラは先ず第一にメロディの宝箱である。
 スコアのどこかしこにも、うきうきするようなメロディが溢れている。それは主旋律だけに限らず、対旋律においてもである。伴奏においてでさえ、歌がある。
 熟考苦慮の痕跡が見えず、湧き出るままに書き綴られたかのような楽曲のバラエティの豊かさ。
 これを天才の仕事と言わずしてどれをもって天才の作品とすると言うのか....
 
 でも、できるならば「カルメン」はオペラとして聴いてほしいし、観てほしい。

 ビゼー自身は演奏会用の組曲としなかったので様々な演奏会様式に編集された組曲「カルメン」が存在する。

 写真はイゴール・マルケビッチとラムルー管弦楽団による演奏のCDである。
 「このような通俗曲にも本気に真面目に取り組むマルケビッチ」などと言った書かれ方をする。
 何を言うか!
 ビゼーがオペラ「カルメン」に刻みこんだ、人間の愚かさ、儚さ、脆さ、そして美しさ、愛おしさをまるで判っていないとしか言い様がない。
 そのような楽曲に、自身が優れた作曲家でもあった真摯な芸術家、マルケビッチが遊び半分で取り組むわけがない。
  「カルメン」という作品に対して最も深い次元にまで到達した演奏だと思う。
 
 僕が「カルメン」の中で一番深さを感じる曲は有名な第2幕と第3幕の「間奏曲」である。
 恐らく聴いたことがない人はいないのではないか。
 曲名は判らなくてもメロディはきっと判る。
 それほどに「よく知られている」という意味で「通俗的」な曲である。
 しかし、オペラで聴くこの間奏曲は異様な存在感がある。

 第2幕は猥雑な居酒屋が舞台である。
 闘牛士エスカミリオがカリスマ的スターとして登場し、女達を周りにはべらせつつ「闘牛士の歌」を高らかに歌う。
 純真なミカエラを裏切り危険な魅力に満ちたカルメンに溺れるドンホセ。
 兵舎への帰還のためのラッパを聞いて、泊まらずに帰ろうとするドンホセに悪態をつくカルメン。

 第3幕は怪し気な密輸団のアジトが舞台である。
 それは暗い山の中だ。
 「おい!おい!仲間達!一儲けできるぜ!でも、その前に足をすべらせて、コケねえように気をつけな」
 密輸団の女達がカルタ占いをする。
 そこにカルメンも加わり占うと、自らと既に兵士をやめ密輸団に仲間入りしているドンホセの死を予兆するような結果。
 そこにエスカミリオが登場して、ドンホセと恋敵であることを知って決闘となる。
 ドンホセではなくエスカミリオを助けるカルメン。
 ミカエラも登場してドンホセを故郷にきっといつか連れて帰り、ドンホセの母親に会わせると誓う。

 こんな凄まじい第2幕と第3幕の間にひっそりと置かれているのが、この有名な間奏曲なのである。

 柔らかな変ホ長調で書かれた、素朴で優美な純粋な結晶のような音楽...
 人間世界はかくも猥雑で、気取っていて、見栄っぱりで、恋に狂い、欲望に満ち溢れ、怪し気だ。
 しかし、どんな人間の心の底にも静かに流れる優しさや温もりがある。
 この激しい泥沼のような4幕のオペラの中で唯一他の曲とは一切無関係であるかのように、この間奏曲は存在している。
 オペラ「カルメン」はこの間奏曲があるからこそ、人間の世界を描き切った最高峰の芸術作品なのである。

 マルケビッチの一切の抜き差しがならないように、ギシギシと鳴る響く、この組曲「カルメン」の演奏は、その本質を見事に描き切っている。 

 オペラ「カルメン」を観るならカルロス・クライバーの振ったDVDにとどめを刺す。
 演出のフランコ・ゼッフィレリは、群集を舞台で自由に動かし、猥雑な世界を見事に表現している。
 カルメンが歌う「ハバネラ」、ドンホセを誘惑する「セギディーリャ」や、先述した「闘牛士の歌」などの曲の妖艶さが、粘りつつも、しなうようなリズムを持って演奏されるのはクライバーの指揮無しではあり得ない。
 そして、件の間奏曲のメロディはクライバーの両腕のしなやかな動きによって究極の美しさだ。
 この曲を振るクライバーを彼が亡くなった今でも、映像で観ることができる幸福は何者にも替え難い。

 マルケビッチとクライバー、この二人の「カルメン」があれば他はいらない。
 とは言うものの、来月9月3日には島根大学医学部シュールカメラート管弦楽団で演奏するので、そのお仲間に少しでも近付けるような演奏にしたいものだ....などとさりげなくCMしつつ駄文を終えたい。


 















スメタナ

 スメタナといえば「モルダウ」という曲を思い出す人が多いのではなかろうか。
 これはスメタナの代表作である6曲の連作交響詩をまとめた「わが祖国」の2番目の曲。 雨の雫から源流が生まれ、そして川となり、やがて大河となっていく様を音で描いた詩情あふれるドラマティックな名曲。
 この曲ほどに映像を脳裏に浮かばせる曲はそうない。
 同じチェコの国民楽派であるドボルザークの方がスメタナよりもはるかに有名であるけれど、その音楽の天才性はスメタナが一枚上だと思う。

 「モルダウ」の最初を聴いてほしい。

 雨の雫のような弦楽器のピチカートに乗って、フルートとクラリネットが受け継ぎながら源流が生まれていく様をじっくりと聴いてほしい。さらに、そこに、すべりこむようにして弦楽器がアルペジオで弾き始めるところの感動といったらない。
 このじんわりと心に染みてくるような感動はドボルザークの音楽ではあまり味わえない。

 しかし
 このモルダウでどうしても僕自身が好きになれないところが1ケ所あった。

 それは最後の最後、管弦楽の前合奏でジャン!ジャン!とまとめてしまうところなのだ。

 弦楽器のさざなみのような音型がディミヌエンドしていき、そのまんま消え入るように終わってくれたら、どれほど感動的だったろうか..とさえ何度も思ったものだ。

 ところが、この最後のジャン、ジャンを実に柔らかく優しく、丁寧に慈しむかのように演奏しているCDがひとつだけある。
 写真の僕の膝の上に乗せたCDである。

 指揮はニクラウス・アーノンクール。管弦楽はウィーンフィル。
 これには本当にまいった..
 そして心底嬉しかった!
 あのジャン、ジャンが気に入らなかった人がやはりいたんだ!
 そして、それを演奏して残してくれた人がいた!
 
 このCDはそれだけではない。
 実は「モルダウ」よりもはるかに僕が好きな曲が第1曲目「ビシェフラド」。
 モルダウの河畔に立つ「高い城」のことである。

 この曲の冒頭はハープのソロで静かに厳かに始まる。
 ボヘミアに伝わる伝説に由来するものだと言うが、そんなことは知らなくとも何も問題ない。
 とにかく、このハープのソロを聴いて感動できない人がいるなんて、僕にはちょっと信じられない。
 「胸がキュンとなる」という俗っぽい表現があるが、まさにこれを実感する一瞬がそこにある。

 そこで、このアーノンクールの演奏である。

 ある日、ヘッドフォンで聴いていて唖然となった。
 そして、見る見る目頭が熱くなった。

 スコアは2台のハープで演奏できるように書いてある。これは1台でも演奏可能なのだけれど、アーノンクールはこの2台をステージの右端と左端に離れて置いて演奏させたのだ。(ちなみにこのCDはライブである)
 ステージ上手の第1ハープが演奏を始め、そして下手の第2ハープがそれに応えるように、ソロを弾く。
 伝説の妖精が二人竪琴をかきならしながら、あたかもお話しをしているようだ。
 それをステージ一杯の空間を使って表現して見せた。そして聴かせた。

 その2台のハープの間から金管楽器のコラールが柔らかく響いてくる..

 何度聴いても何度聴いても、僕は飽きることがない。
 古今東西の音楽の中で最も好きなメロディは?と聴かれたら...
 このビシェフラドの第1主題は少なくとも3本の指に入る。
 
 この「ビシェフラド」の感動的な第1テーマは「モルダウ」の最後にも出てくる。

 モルダウ川が急流となり、そしてやがて大河となり堂々と流れているくだりで、突然、このビシェフラド、つまり高い城のテーマが誇らし気に金管楽器で奏される。
 何と、雄大な音楽なんだろう..
 祖国への尽きせぬ愛情に満たされた人でなければ書けない音楽..

 スメタナはこの「わが祖国」を書いている間に聴覚を完全に失った。

 音楽家として致命的とも言える聴覚障害に苦しみ抜き、やがて全ての聴覚が失われることを知り「今のうちに書き残しておかねば..」との使命感に突き動かされた芸術家にしか絶対に書けない音楽..
 
 祖国への愛情と音との惜別の情に満たされた、のっぴきならない音楽。
 それが「わが祖国」だ。
ジダン
 W杯の決勝戦で前代未聞のヘッドバットを喰らわせたジダン選手...
 僕は
 決して、決して、暴力を容認はしない
 しないけれど
 その時のジダン選手の耐え切れない
 煮えたぎるような怒り、に僕は共感してしまう
 怒りは誰に向けられたものか...
 世界が一介のサッカー選手であるジダンに要求した偶像...
 その偶像に自分をあてはめ続けなければならなかったジダン...
 その世界への復讐として...
 また、偶像と自己を摺り合わせ続けた自分への復讐として...
 放たれた哀しいヘッドバットだったように思えてならない...
 それでも
 それでも、僕はジダン選手のあの深みのある表情と笑顔が大好きである
 

2006/7/8 PM7:15~邑南町 水明カントリークラブ クラブハウス 玄関広間

水明カントリー1

水明カントリー2

 昨年も、ここ、水明カントリークラブで短いコンサートをさせてもらった。馬頭琴とのコラボレーションもあった。
 このクラブハウスの玄関広間はまさにドーム状になっていて、古いヨーロッパの教会を思わせるような一種厳かな雰囲気さえある。
 昨年、演奏させていただいた時も、その豊かな響きに魅了されたものだ。
 その時のスタッフの方から、同じ場所でチャリティコンサートをやるから来てくれ、とオファーをいただいた時は、一も二もなくお受けしたものだ。
 水明カントリークラブはゴルフ場である。従って、本来そのクラブハウスはゴルフ利用客にしか、使用されていなかったわけである。
 ところが、ここのオーナー氏が「それはもったいない!こんなに素敵なドームなんだから、もっと広く公開したらどうか?」との意見をスタッフに言ったらしい。
 そこで、彼等が考え付いたのが七夕チャリティコンサートを開催すること。
 そして、ゴルフだけでなく、文化的な何かの発信地に育てたいと願われたのだった。
 で、その第1弾の出演者として、白羽の矢が当たったのが、地元で手作りお菓子を制作販売しているフルーティスト小城陽子さんと、もったいなくも、僕だった。

 午後3時にはクラブハウスに到着し、早速セッティング。午後7時15分スタートなんだから、早すぎるのでは...と思われるかもしれないが、それほどの意気込みだったわけである。
 できるだけ良い音を聴いていただくべく、念入りにセッティングをしたかったのだ。
 そしてセッティング終了!↑

 小城さんはマイナスワン、つまりフルート演奏用のカラオケMDを使っての演奏をすると事前に聞いていたので、その用意もバッチリしていた。
 ポータブルMDプレーヤーをミキサーに接続して再生する。
 曲目は今は亡きジャズピアニスト、ビル・エヴァンスのオリジナル曲「ワルツフォーデビー」からリハ開始。
 おぉ!何と素敵な雰囲気!
 カラオケの音も低音がびんびん響き、ドラムのブラシの音ましゃっしゃかしゃっしゃか小気味良い音がしている。
 その上に乗る小城さんの芯のあるフルートの音...こりゃいいわ...
 ドームの中に音が立ち上がっていく...そんな感じだ。
「気持ちいいですね~!」と思わず小城さん。
 何だか得意になった。
 僕の曲のリハをする。
 おぉ!こ、こ、これは...

 そして時は流れ、やがて午後7時。
 階段下のスペースのにわか楽屋に待機。
 小城さんはピンクの素敵なドレス。
 僕は...
 はい、いつものよれよれシャツにジーンズ...
 
 お客さまは約50人位か。ドームの真下にしつらえた客席に静かに座っておられる。
 まず最初に小城さんの演奏からスタートする。
 華やかな感じで颯爽と登場。
 僕は階段の手摺の陰に隠れてMDプレーヤーのオン&オフをする。
 「ワルツフォーデビー」からスタート。
 おぉ!美しい!
 そして「夏の思い出」「浜辺の歌」、さらに「ハナミズキ」そして最後は「星に願いを」。
 そこで僕にバトンタッチ。
 会場は暗く、そしてドームの2階からピンスポット1本。
 何とよいムード...
 1曲目「Only you」
 テンポも究めてゆっくりと...かみしめるように...
 2曲目「春夏秋冬」
 泉谷しげる氏の名曲。これもコードを通常のメジャーコードの代替えコードに変えて、ちょっとモダンに...テンポもゆっくりと。
 3曲目「君の好きな色」
 自分の歌声とギターの音が、本当にドームの天井に吸い込まれていくような...不思議な快感...
 これはちょっと説明不可能だな...体験していただくしかないだろうな...
 昨年、ここで歌わせていただいて、感じた心地よさの100倍だった。
 4曲目「涙そうそう」
 ここでアクシデント!ギターのジャックが破損したのか、接続不良をおこして音が出なくなっていたのだ。しかし、僕は最初気づかなかった。何故か?それは、ギターの生音がクラブハウスのドームに響き渡っていたからである。それほどなのである。
 5曲目「亡き父へ」
 親守歌で優秀賞をいただいた曲である。何と言っても七夕である。
 天の川を隔てて別れてしまったのは、何も織姫彦星だけではない。
 様々な死別がある。
 でも、命というものは、空間的にも時間的にも拡がりを持ったエネルギーみたいなものだと思う。
 だから、また会える...そんな思いをこめて、この曲を七夕の夜に歌わせていただいた。
 客席のあちらこちらから聴こえてくるすすり泣き...
 僕の声がドームの天井に向って昇っていく...
 こんな経験は始めてだった。
 これで僕の出番は終わり。

 もう一度、小城さんに登場をお願いする。
 ここからはフルートとギターのデュオで2曲。
 「七夕さま」
 「見上げてごらん夜の星を」
 
 ぴたりと予定の8時30分に終了。
 お客さまにも喜んでいただけた様子。
 何しろ演奏した側の二人が、あんなに心地よかったのだから...
 あの感じはきっと伝わっているはず...
 自画自賛...だけではないんじゃないかな...と思いたかったりして...